「木とトの漢字って、どんな読み方なんだろう?」
木+トの漢字、朴の読み方です。
まず、音読みで「ボク」。
朝鮮の苗字としては、パクという読み方を使います。
そして訓読みでは、「えのき」「ほお」「ほおのき」と、色々あります。
この朴という漢字は古代、厚朴という木を表すために作られました。
さらにこの朴は一語でえのきという木を表す漢字に。
そして、朴は他の漢字とともに日本にやって来ました。
すると日本では、この朴をほおという木を表す文字として使うようになったのです。
木とトの朴。
この漢字の誕生から日本への渡来の流れを、具体的に見ていきます。
木とトの漢字の読み方!その1「ボク」
木とトの漢字、朴。
読み方で多く使われるのはボクです。
この朴はかつて、あるモクレン科の樹木に使うため、生まれました。
厚朴(コウボク)という木です。
この木は中国医学に使われる木です。樹皮を薬として使うのです。
ちなみに正式名称は、「Magnolia(モクレン属)officinalis(薬用の)」です。
木とト!朴という漢字
木とトで作られた漢字朴は、厚朴という樹木を表すために作られました。
厚朴は、樹皮が厚い木です。その厚い樹皮を割り、薬を作り出しました。
それで厚朴には、厚(あつい)という文字が使われました。
次に朴の右側、ト部分です。
ここまで、トはカタカナのトを使ってきました。
じつは、朴の右側はうらなうという意味の卜という字です。
うらなうという読み方をする、占いに関わる文字なのです。
ちなみに、卜の音読みは「ボク」です。
この卜が割るという意味につながります。
「卜」が「割る」
卜の象形文字を見てみましょう。
![](https://lets-go-adventure.com/wp-content/uploads/2019/07/c0df84b373e5914772f80b213ab7723a.jpg)
この象形文字は、割れ目を表しています。
亀の甲羅(こうら)を焼き、その割れ方で運勢を占っている様子が表現されています。
これで、厚朴が厚い樹皮を割る木。
そして、その樹皮を薬にした、という事にたどり着きました。
木とトの漢字の読み方!その2「えのき」
木とトでできた漢字、朴は、一語でえのきという木を意味するようになりました。
それは、なぜか。
「えのき」も樹皮を使う
じつはえのきも厚朴のように、樹皮を利用できる木だったのです。
このえのきの樹皮の用途は厚朴とは違って、縄にしたり、紙や服の原材料として利用されました。
えのきは日本で、木陰で休める樹木として親しまれました。
枝(え)の木陰で休める木(き)から、えのきという呼び名が生まれたんですよ。
木とトの漢字の読み方!その3「ホオノキ(木)」
木とトの漢字朴は厚朴に使われ、えのきの意味もたずさえて、日本に渡ってきました。
この朴は、日本でさらに新しい意味を持つ事になりました。
ホオノキ(木)を表す漢字になったのです。
![](https://lets-go-adventure.com/wp-content/uploads/2019/07/9681a5f15d5c7786174a9fadb7afc9f9.jpg)
このホオノキは、中国の厚朴と似た、同じモクレン科の樹木です。
日本固有のホオノキに、朴があてられたのです。
「和厚朴」と「中国の厚朴」
そして日本では、中国の厚朴はカラ(唐)ホオノキと区別して呼ばれる様になりました。
また、厚朴という言葉も残っています。
中国のカラホオノキで作られた薬は、唐厚朴(からこうぼく)という呼び名になりました。
対して、日本のホオノキで作った薬は、和厚朴(わこうぼく)という呼び名です。
「ほおのき」は「冬芽」
日本固有の樹木、ほおのき。
その名のほおは冬芽が由来なんですよ。
冬芽というのは、冬を越す新芽のことです。
秋に新芽が生まれ、ツボミに包まれて冬を越すのです。
包むがほおむと言い表され、新芽をほおむ木、ほおのきとなったのです。
冬の間、新芽を守るほおのきの生命力と力強さを感じます。