「木とトの漢字って、どんな読み方なんだろう?」
木+トの漢字、朴の読み方です。
まず、音読みで「ボク」。
朝鮮の苗字としては、パクという読み方を使います。
そして訓読みでは、「えのき」「ほお」「ほおのき」と、色々あります。
この朴という漢字は古代、厚朴という木を表すために作られました。
さらにこの朴は一語でえのきという木を表す漢字に。
そして、朴は他の漢字とともに日本にやって来ました。
すると日本では、この朴をほおという木を表す文字として使うようになったのです。
木とトの朴。
この漢字の誕生から日本への渡来の流れを、具体的に見ていきます。
木とトの漢字の読み方!その1「ボク」
木とトの漢字、朴。
読み方で多く使われるのはボクです。
この朴はかつて、あるモクレン科の樹木に使うため、生まれました。
厚朴(コウボク)という木です。
この木は中国医学に使われる木です。樹皮を薬として使うのです。
ちなみに正式名称は、「Magnolia(モクレン属)officinalis(薬用の)」です。
木とト!朴という漢字
木とトで作られた漢字朴は、厚朴という樹木を表すために作られました。
厚朴は、樹皮が厚い木です。その厚い樹皮を割り、薬を作り出しました。
それで厚朴には、厚(あつい)という文字が使われました。
次に朴の右側、ト部分です。
ここまで、トはカタカナのトを使ってきました。
じつは、朴の右側はうらなうという意味の卜という字です。
うらなうという読み方をする、占いに関わる文字なのです。
ちなみに、卜の音読みは「ボク」です。
この卜が割るという意味につながります。
「卜」が「割る」
卜の象形文字を見てみましょう。
この象形文字は、割れ目を表しています。
亀の甲羅(こうら)を焼き、その割れ方で運勢を占っている様子が表現されています。
これで、厚朴が厚い樹皮を割る木。
そして、その樹皮を薬にした、という事にたどり着きました。
木とトの漢字の読み方!その2「えのき」
木とトでできた漢字、朴は、一語でえのきという木を意味するようになりました。
それは、なぜか。
「えのき」も樹皮を使う
じつはえのきも厚朴のように、樹皮を利用できる木だったのです。
このえのきの樹皮の用途は厚朴とは違って、縄にしたり、紙や服の原材料として利用されました。
えのきは日本で、木陰で休める樹木として親しまれました。
枝(え)の木陰で休める木(き)から、えのきという呼び名が生まれたんですよ。
木とトの漢字の読み方!その3「ホオノキ(木)」
木とトの漢字朴は厚朴に使われ、えのきの意味もたずさえて、日本に渡ってきました。
この朴は、日本でさらに新しい意味を持つ事になりました。
ホオノキ(木)を表す漢字になったのです。
このホオノキは、中国の厚朴と似た、同じモクレン科の樹木です。
日本固有のホオノキに、朴があてられたのです。
「和厚朴」と「中国の厚朴」
そして日本では、中国の厚朴はカラ(唐)ホオノキと区別して呼ばれる様になりました。
また、厚朴という言葉も残っています。
中国のカラホオノキで作られた薬は、唐厚朴(からこうぼく)という呼び名になりました。
対して、日本のホオノキで作った薬は、和厚朴(わこうぼく)という呼び名です。
「ほおのき」は「冬芽」
日本固有の樹木、ほおのき。
その名のほおは冬芽が由来なんですよ。
冬芽というのは、冬を越す新芽のことです。
秋に新芽が生まれ、ツボミに包まれて冬を越すのです。
包むがほおむと言い表され、新芽をほおむ木、ほおのきとなったのです。
冬の間、新芽を守るほおのきの生命力と力強さを感じます。