「杜って漢字、読み方は?」
木+土の漢字、杜。
どんな読み方なのでしょうか・・・。
さっそく、その杜の読み方を。
この杜のいちばん一般的な読み方は「もり」です。
さらに他にも、「ト」「やまなし」という読み方もあります。
この杜という漢字、木+土で渋い梨を表現したものでした。
その渋い梨を切り口にして、杜の読み方の誕生に迫っていきたいと思います。
「木」+「土」はどんな感じ?
木と土の漢字、杜。
この杜はどうして、渋い梨なのでしょうか?
木と土で「渋い梨」を表す漢字に!
じつは、杜という漢字は、中国北部の渋い梨を表す漢字なのでした。
この梨、山に自生していました。
そのため、山に自生する梨が省略されて、やまなしという読み方になったのです。
このやまなし。
美味しくなかったんですね。
この梨を食ると、「吐き出したい!」と感じる程でした。
吐は、トと読む漢字ですね。
偶然にも杜のトという読み方と一致したのでしょうか・・・。
「杜」が誕生!
杜という漢字は、「吐き出したい!」という感情から出来あがりました。
まず、杜の右側の土の部分は「吐き出したい!」を表現しているんですよ。
土という漢字の象形文字を見てみましょう。
こんな風に、盛り上がった形をしています。
この象形文字では、土を盛り上げた形が表現されています。
この盛り上がった形は、胃からこみ上げてくる感じを連想させました。
「渋い梨だ!吐き出したい!」という感情です。
今度は、杜の右側の木の部分を見てみましょう。
こちらの木については、普通に「梨は木に実る」という事で土とセットにされました。
これで杜という漢字が完成したのです。
続いては、この杜という漢字が日本で神社の杜になるまでのお話です。
「杜」!日本では「神社の森」
杜という漢字が日本にやって来ました。
すると、日本では渋い梨ではなく、神社の森という意味になったんですね。
それが、もりという読み方に。
・・・一体、どうしてなのでしょうか?
「杜」という漢字がやって来た!
杜は3世紀ごろ、他の漢字と共に日本に伝わってきた、と言われています。
「3世紀って、どんな時代?」
3世紀は、弥生時代の終盤。
日本では既に梨が食べられていた時代です。
もちろん、中国のやまなしとは違う種類の梨です。
自分たちが食べている梨に、渋い梨の意味を持つ杜をあてたくありませんね。
そのため、杜には日本独自の意味をあてはめた、と考えられます。
それが、神社の森だったのです。
日本では「土」が「大地の神様」
日本では神社の森という意味になった杜という漢字。
その理由は、日本では土を大地の神様として敬って(うやまって)いたためです。
「土」=「大地の神様」
土は日本では信仰の対象になっていました。
大地の神様である土は、私たちに様々なものを与えてくれます。
私たちは土の上に家を持ち、土のなかで育った食べ物のおかげで生きている、という考えです。
そんな恵みのをもたらす土が神様となったのは、自然な流れかもしれません。
「杜」=「神社の森」
神様として信仰された土。
その土と木が一緒になっていることで、杜という漢字は神様の木を表現している様に見えたに違いありません。
その神様の木は神社の森という意味になったのです。
感謝のお酒
土を表す象形文字を、もう一つ見てみましょう。
同じ土の塚なのですが・・・。
何かが上から振りかけられています。
それはお神酒です。
お神酒を土に降りかけることに、大地に感謝する気持ちが現れています。