「柘って漢字、どんな読み方かな?」
木と石がくっついた漢字、柘。
まず、この漢字の読み方はたくではありません。
たくという読み方をするのは、てへんの漢字、拓です。
木が入った柘は一般的に、
- 音読み・・・シャ
- 訓読み・・・つげ
という読み方になっているんですね。
面白いことに、柘という漢字は、日本と中国では意味が違います。
日本と中国では、違う樹木のことを指す漢字だったのです。
それでは早速、
- 読み方は日本で「つげ」
- つげに生まれた松尾芭蕉
- 中国でははりぐわという木
- 柘は果実がたくさんの木
といった話題を、サクサク見ていこうと思います。
木と石の漢字!読み方は日本で「つげ」
木と石がセットになった漢字、柘。
シャとつげという読み方でしたね。
日本では、柘植という2文字でも同じくつげと読まれています。
つげという樹木の名前です。
ちなみに、柘植という漢字はたくしょくと読みがちです。
ところが、たくしょくと読むのは拓殖という文字。
たくという部分は先述のてへんの拓です。
日本のつげという木
柘植(つげ)という木は、日本に自生しています。
つげは、関東地方~九州の地域に生える低木です。
1~3m程度でまでしか大きくなりません。
柘植の木は、
- 印鑑
- 将棋の駒
- そろばんの球
- 櫛
といった物に使われます。
細工物の材料に重宝されているのです。
柘植は丈夫な木です。
木目がしっかりとしています。
そのため、柘植は魅力的な木材になります。
丈夫な柘植は、加工後に変形しないのです。
つげは変形しないという特徴を生かして、昔は入れ歯にもなりました。
つげという町
この柘植は町名にもなっています。
その町は、三重県の伊賀市にあって、読み方もつげです。
この柘植の近辺で生まれ育った俳人がいます。
それは、松尾芭蕉です。
松尾芭蕉は江戸時代初期、1644年生まれです。
伊賀の柘植で産声をあげ、幼名は金作でした。
現在の柘植の駅の様子です。
のどかな雰囲気の柘植が、芭蕉の感性を育んだのか・・・。
思いを馳せてしまいます。
木と石の漢字!中国では「はりぐわ」という木
「ふ~ん。」
「中国だと、違う木なんだね。」
柘という漢字は、中国では違う樹木を指すものとして生まれました。
はりぐわという木です。
はりぐわだった漢字が、日本に渡来するとつげという樹木を意味する事になったのです。
日本には無いはりぐわ
「どうして、変わったのかな?」
じつは、はりぐわという木は、日本には生えていません。
中国と朝鮮半島だけに自生してるのです。
柘という漢字に当てはまる木が無い日本。
そこで考えました。
「・・・そうだ!」
「中国や朝鮮には無い木を指す漢字にしよう!!」
という感じで、中国や朝鮮には無い、日本のつげという木に柘をあてた様です。
柘という漢字!生まれた背景は?
最後は、おまけの章です。
柘という漢字が生まれた背景を見てみます。
柘は果実がたくさんの木
はりぐわという木には、小さな赤い実がたくさん実ります。
その木の様子が柘という漢字で表現されたのです。
柘の右側の石という部分に注目です。
この石はギュウギュウに詰まっているという事を表す漢字。
赤い実がたくさん実るはりぐわを表すのにピッタリですね。
つまり、柘は果実がたくさんの木を意味するという漢字なのです。
ちなみに、はりぐわは針桑という意味を持っています。
はりぐわは、枝に鋭い刺(とげ)を持った木。
この刺が針のようで、針桑と書かれる様になりました。